昭和100年と戦後80年にちなみ、さいたま市大宮区の鉄道博物館で、昭和元年(1926年)から昭和20年(45年)までの鉄道資料を集めた特別展「鉄道博物館から見た昭和の世界」が開かれている。全国に路線網が広がり「黄金期」と呼ばれた時代から、敗戦に至るまでの鉄道のあゆみをたどる内容だ。
昭和初期、鉄道は「陸上交通の王者」として多くの人々を旅にいざなった。ところが、戦時下では軍事輸送が優先され、「鉄道は兵器」と呼ばれるようになった。
特別展では、駅弁の掛け紙のデザインが観光名所から兵士の顔に変わり、やがては紙不足で裏紙にゴム印だけになったことや、機銃掃射を受けた機関車の様子などを紹介。42年に開かれた鉄道開業70年式典を伝える映像も初公開されている。
同館学芸部主任の永井沙織さんは「たった20年で社会と鉄道が様変わりした激動の時代を感じ取って欲しい」と話す。南館3階の歴史ステーションで22日まで。